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不安障害・パニック障害

Anxiety disorder

不安障害・パニック障害|調布駅の心療内科・精神科・メンタルクリニック|調布聖美会クリニック

不安障害・パニック障害

Anxiety disorder

不安障害・パニック障害

不安というものは、危険から身を守るために備わっている人間が生きるための基本的な機能です。人間が危険な状況に直面すると、不安が引き起こされ、逃げるか闘うための生体反応が誘発されます。この反応により、心臓や筋肉への血流量が増えるなど身体にさまざまな変化が生じ、襲ってくる動物から逃げる、攻撃してくる相手を撃退するといった、生命を脅かす状況に対処するために必要なエネルギーと力が身体にもたらされます。
不安を感じることによって、危険を回避することができるのです。不安は、本来は生きていくためには必要な機能ですが、危険でもない状況でも不安を感じてしまい、日常生活に支障をきたすほど、強く、長く、頻回に不安を感じるのが不安障害です。
不安障害には、前触れもなく、突然、動悸や息苦しさの症状が現れるパニック発作を主症状とするパニック障害、さまざまな出来事、活動に対して不安を過剰に持つ全般性不安障害、特定の状況、例えば電車など閉じられた空間に不安・恐怖を感じる空間恐怖(広場恐怖)、人前での会話に不安を感じる社会不安障害(社交不安症)などがあります。

不安障害・パニック障害の原因

人間が生きるための基本的な機能である不安が日常生活に支障をきたすほど強くなり不安障害にどうして発展するかは完全には分かっていません。ただし、不安障害は、重要な人間関係の破綻や生命を脅かす災害への遭遇などのストレスが引き金になって生じることが知られています。また、精神的な気質、身体的な状態、不安障害の家族歴などの要因が関わっている可能性があります。
家族歴について、不安障害は家族内で受け継がれる傾向があります。このような傾向の一部は素因によるものとしても、ある部分は不安の強い人とともに生活することで学習されたものとも考えられています。
身体の病気や薬の使用または中止によっても、不安が生じることがあります。不安の原因になる身体的な病気として、不整脈などの心臓の病気、副腎皮質機能や甲状腺機能亢進症など内分泌の病気、慢性閉塞性肺疾患など呼吸器系の病気があります。また飲酒、そして逆に断酒が不安の原因になることがあります。

不安障害・パニック障害の主な症状

  • 急につよい不安に襲われる
  • 発作的に呼吸困難感や動悸などが起こる
  • 発作を恐れて行動範囲が狭まる
  • 人前での会話に不安を感じる
  • 電車など閉じられた空間に不安・恐怖を感じる
  • 特定の状況で恐怖感を感じる
  • さまざまな活動に対して不安を過剰に持つ

不安障害・パニック障害の治療

不安障害・パニック障害の治療

不安はうつ病や適応障害など他の障害でもしばしば認められる症状です。また、不安障害のタイプによっても治療法が異なるため、他の精神障害との鑑別と不安障害のタイプの診断が求められます。
原因が身体的病気や薬である場合には、不安の対症療法ではなく、身体的な病気を治療するか、あるいは薬を中止してその後にみられる離脱、中断症状が軽減するまで経過を観察し不安がおさまるのを確認します。
ここでは、パニック障害の治療について述べます。

パニック発作は死んでしまうのではないかという恐怖伴う苦痛な経験ですから、一度パニック発作を経験すると、再び発作に襲われるという予期不安が強くなり、パニック発作が起きるのを回避するために行動が変化します。このような行動変化を伴う場合には、精神療法や薬物療法による治療が必要となります。パニック障害は人間が生きるための基本的な機能である不安による症状であることを説明し、治療によって症状をコントロールできることを説明して安心してもらいます。
パニック障害に対しては、さまざまな種類の精神療法が有効です。曝露療法では、その人が予期不安を感じる状況や対象に、実際に、あるいは想像の中で繰り返し向き合わせ、刺激が効果を失うまで、不安を繰り返し経験してもらいます。一般的には、簡単に耐えられる弱い曝露から始め、曝露のレベルを段階的に実際の状況に近づけて、実際に被害が生じる可能性が低いことを経験して自信を持ってもらいます。

また、パニック発作が起きる状況を回避せず、自分が抱いている恐怖心には根拠がないことを認識し、ゆっくりとした一定の呼吸など、緊張を和らげリラックスする方法で対応することを教える認知行動療法も有効です。
薬物療法では、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などの抗うつ薬と、ベンゾジアゼピン系薬剤など抗不安薬が有効です。急性の不安に対しては抗不安薬 (ジアゼパムなど)がよく処方されます。また、多くの患者で、SSRI がうつ病に対してと同様、不安障害によく効きます。
最初に、抗不安薬と抗うつ薬が投与されます。抗不安薬は即効性がありますが、眠気を催し依存傾向になることがあるため、通常は抗うつ薬の効果が出たら、安定剤の用量を減らし、後に服用中止を目指します。しかし、ベンゾジアゼピン系抗不安薬が唯一有効な長期的治療法になる場合もあります。抗うつ薬の中でSSRIが良く処方されるのは、他の抗うつ薬と比較しても同等の効果があり副作用も少ないためです。眠気を催す可能性がはるかに低く、依存性もありません。
薬物療法によりパニック発作が起こらなくなることも良くあります。しかし、精神療法を行わない場合、薬物療法のみでは将来の発作に対する予期不安や、パニック発作を引き起こす状況の回避が止められないことがあります。