うつ病の原因
うつ病のきっかけ、原因にはさまざまなものがあります。1人の患者様のうつ病にも複数の原因があるのが普通です。
職場、学校、家庭内のさまざまなストレス、悲しい出来事をきっかけにうつ病になることがあります。さらに、身体の病気や飲んでいる薬がうつ病を引き起こすことがあります。しかし、結婚、進学、就職、転居などといった、必ずしも悲しくない出来事の後にもうつ病を発症することがあります。
さて、脳の神経細胞の接合部分のシナプスにはシナプス間隙という隙間があります。神経細胞から神経細胞に情報が伝わるためには、一方の神経細胞が神経伝達物質という化学物質を放出して、これがシナプス間隙をわたって、次の神経細胞に到達しなければなりません。この過程は、リレーでのバトンの受け渡しのようなものです。神経の情報は十分な神経伝達物質があってはじめて伝達されます。シナプス間隙に放出された神経伝達物質は、分解されたり、これを放出した神経細胞に再び取り込まれたりします。
うつ病の治療に用いられる抗うつ薬は神経伝達物質の量を増やす作用があることから、うつ病では、神経伝達物質の量が減って、神経の働きに不調をきたしていると考えられています。このような不調を背景に、うつ病では感情や意欲を司る脳の働きに何らかの不調が生じていると考えられています。
しかしながら、うつ病にかかるしくみが解明されるまでにはさらなる研究が必要です。